彩鶏 IRODORI

彩鶏 IRODORI

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日時 6月9日(土)
場所 500坪、西口かもルーム
協力 松原東洋(舞踏家・「トンデ空静」主宰)
さばカン(演奏家・アフリカンドラム)
イズミ(民族楽器非楽器演奏家)
竹島修(鶏マスター・「サハジバザール」代表)

概要
昨年向き合ってきた500坪の大地をいよいよ動かす第一歩。
学生たちが育ててきた鶏をさばき、命を食すこと=生きることを考え、さまざまな思いが交錯しながらも共に踊り、共に食し、一生忘れない大切な経験をした。

〈彩鶏 IRODORI〉を終えて〜
報告者 風間勇助
6月9日に「彩鶏 IRODORI」と題して、学生たちが3週間育てた鶏を500坪の大地でさばいて食べるという、命をいただく=生きることを考える企画を行ないました。当初はその儀式のあと、除染をかけいよいよ500坪を動かしていくスタートをきるつもりでしたが、雨天により延期しました。
ゲストには舞踏家の松原東洋さんを始め、さまざまな縁から鶏師の方や多くの演奏家にも来ていただきました。
6月9日、「ロックの日」ということもあり、さばカンさんとイズミさんの演奏で幕をあけると、ただ歩いているだけかもしれない鶏の動きが、不思議と音に合わせて踊っているように見えました。

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演奏が終わり、鶏師の竹島さんに指導いただきながらいよいよ鶏を締めます。
鶏を締める前には、「今から命をいただきます」と、鶏に話しかけ敬意を払います。

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私は記録を担当しておりましたが、当日まきストーブの火の管理も行ない、ディレクターの岩間さんから「鶏をさばくのが始まったよ」と言われ、火が落ち着いたあと見に行くと、すでに鶏は血を流しながら吊るされており(写真は掲載できませんが)、その場が息をのんでいるのがすぐにわかりました。

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まるでモノクロのシーンというか、あの場にいた人が黒い服を着ていても違和感のない風景といいますか、さらには空までが泣いて(雨がふって)おり、命の重みがずしっと伝わり大地も鎮まっていくように感じました。

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クリスタルボールや太鼓、笛といった楽器の音も、すぅーっと音が通っていきその場が、その場にいた人がそのエネルギーを吸収していくのがわかりました。反射板がある日本の立派なコンサートホールで聞くものとはまったく違って(意味合いとしても)聞こえました。

鶏を締めたのち、羽を抜きやすくするため63℃のお湯につけます。
温度が高すぎると皮ごと剥がれてしまい、低過ぎても羽が抜けなくなってしまうそうで、63℃という温度がいいそうです。

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そして、お湯から出した鶏の羽をさっそく学生自らがむしり取ります。

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かなり真剣な表情です。人は生と死の境界を目にするのが嫌なんですね。多くの学生の反応も、血を流しながら羽をばたつかせているのを見るのが 一番心苦しかったと言っていました。一方で、意外と平然と鶏がさばかれる様子を見ることができたという、あるリアリティや吊るされた鶏に向ける思いの差は多様でもありました。

それは、中嶋さんによる大地へ思いを馳せる場面で感じました。
中嶋さんは、各々が思うままに大地への感謝や祈りを捧げるよう指示されました。

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彼ら彼女らは何を思っていたでしょうか。

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飼育してきた鶏、ドローイングの対象であった鶏、目の前でさばかれるのを見るのが心苦しくなった鶏…
しかし、ある瞬間からそれが食べ物であることがわかっていきます。

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”1羽の鶏” が ”◯kgの肉” に変わったのはいつだったでしょうか。
それを目にする私たちも、人間的(社会的/表層の)人間と動物的(生物的/深層の)人間の境界を彷徨っていた気がします。

その言うに言われぬ思いを、舞踏家の東洋さんと一緒に身体の表現として放出していたのも、とても良かったです。だからこそ、誰も食べることに嫌悪を抱かなかったというか、 さっきまで涙を流していた学生がけろっと「おいしい!」と元気になっていたのは とても印象深かったです。

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見る(聞く、感じる)人がそれぞれにいろんな思いを抱え、言葉だけでなく、共に食べたり踊ったり表情を見たりいろいろする中でその思いを共有し、アートって潜在的に多様性を生み得るものだし、多様でありながら同時に”一個の人間”というゆるやかな連帯を生んでいくものだと改めて感じました。

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雨の中大変な作業を終え、身体も動かし踊り、最後はぐったりすることなく、むしろ朝集合した時よりも元気になっていた気がします。それが命=食べ物のもつエネルギーでしょうか。

まだまだ考えることがたくさんあります。 それだけ いい意味で強烈な場でした。一生忘れない経験でした。お越しいただきましたみなさま、ありがとうございました。

延期になってしまった除染を早急に終えてしまい、ハチとイモをさっそくはじめていかなくてはなりません。